山之口洋
パイプオルガンにまつわるSF小説。ただしSF的意匠は本質的でなく、あくまで音楽に関わる人々の青春小説として読むのが正しいだろう。バッハの音楽的解釈に関してはいろいろ異論もあるだろうが、まずはエンターテインメントとしてできが良いので、気にせず読める。ただし作品に深みはないので、詩的な感興や、読後感のふくらみが欲しい場合にはむかない。
読みながら頭をちらついたのは、ハルモニアである。天才チェリストを主人公にした作品だが、色んな箇所でこれと重なりあうところがあった。
ちなみにファンタジー大賞受賞作。
2000/3/18
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