2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

夜消える

夜消える 藤沢周平 藤沢周平の短編集を久しぶりに読んだ。いい年をした(中年以上)男女の機微を描く小説ばかりである。どもれ大人の人間関係で、子供の頃は、まったくピンとこなかっただろうが、この年になって読むと、どれも実感がある。「踊る手」「遠ざ…

空中庭園

角田光代 最近ときどきテレビで拝見する角田光代の代表作と言われている。以前から気になっていたので読んで見た。団地に住む家族の話だ。父、母、姉、弟、と、少し離れて暮らす祖母や、父の愛人などが出て来る。表面的には現代的に、コミュニケーションも上…

地球の長い午後

ブライアン・W・オールディス 今とは全く姿が変わってしまった遠い未来の地球の話だ。地球の半分以上が熱帯になっていて、巨大な肉食植物が繁茂している。人間は、今よりもずっと小さな体で、樹上生活者として細々と生き延びているが、他の哺乳類のほとんど…

人間は脳で食べている

伏木亨 毎日新聞の書評で取り上げられていておもしろそうだったので読んでみた。ちょっと文体が読みづらいが、内容は面白かった。わたしたちが、ものを「おいしい」と思う時には、さまざまな要因が絡んでいて、その中で特に人間、それも現代人に特殊に大きく…

神はサイコロを振らない

今クールのTVドラマで毎回楽しみにしていた『神はサイコロを振らない』が最終回を迎える(2006/3/12の文章)。最初はSF風味なコメディドラマだと思っていたが、立派にSFだ。というか最近久しぶりにまっとうなSFだと思う。マイクロブラックホールが、どうこうい…

歴史時代書房 時代屋

http://jidai-ya.com/index.html 神保町、というより小川町にある不思議な本屋、兼グッズショップだ。本屋街からスポーツ用品店の並ぶ通りを過ぎて、オフィス街に入ったあたりにある。一見、変なグッズショップで、入ると、ちょっとケバい本屋である。中は縁…

東京 古本とコーヒー巡り(古書店)

なかなか洒落た本で、これをめくっていると本屋とカフェに行きたくなる。新刊書店の方で、最初に掲載されているのは東京堂書店である。あそこは凄い。ほんと何時間でもいられる。このML(飛行船通信)に関するところとしては、教文館ナルニア国、トムズボック…

東京ブックストア&ブックカフェ案内(新刊書店)

かもめ食堂

群ようこ 本屋で立ち読みして、選んだ。もうじき映画が公開されるらしい。見にいこーっと。映画の原作として書き下ろされた小説だそうだ。フィンランドに、一人の日本人女性が開いた小さな食堂「かもめ食堂」、にまつわる話だ。飄々とした楽しい話である。こ…

博士の愛した数式

小泉堯史 良い映画だ。ただ原作を読んでいない方がより素直に楽しめるだろう、と思った。原作をなぞったシーンは、原作を思い出しながら見てしまう。原作は、小川洋子の作品の中では特異的に、いわゆる「良い話」になっているとのことだが、それでも私には、…

小さな王子さま

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 山崎庸一郎訳 昨夕、借りて来て読み始めて、私にとっては意外な事に、どっぷりと読みふけってしまった。以前、『星の王子さま』読んだのはいつだったろうか。もしかすると10年以上前かもしれない。もっとさらりと読…

バッテリー IV

あさのあつこ III巻を読んだのが大分前だったので、どういう所まで話がいってたのか完全に忘れていたが、ちょっと読んだら思い出した。横手の中学校と練習試合をするという話だった。あいかわらず上手い。今回、印象的だったのは、横手の瑞垣と門脇だ。中学…

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」

高山一彦 ジャンヌ・ダルク研究は、ずいぶん大きな広がりを持っているとわかった。フランスでは飛び抜けて人気のある歴史上の人物ということらしい。日本だと義経かなぁ。でも義経は救国したわけではないから、ジャンヌ・ダルクは、もっと大きな存在なんだろ…

刀狩り

藤木久志 1588年7月8日に秀吉が出した「刀狩令」を、本の説明をもとに、私が適当に現代語訳すると以下のようになる。 第一条 百姓は刀、小刀、弓、やり、鉄砲、その他の武器は所持してはいけない。余計な武器を所持して、年貢をおさめるのを渋ったり、一揆を…

はじめからの数学 (5) 数学と自然法則 ~科学言語の開発

J・タバク (著)、松浦 俊輔 (翻訳) 学校で習う数学は、エレガントに整理された形で教わる。もちろんそれで良いのだけれど、最初からそんなに整理されていたわけではないんだな。当たり前だけれど。これらの本を読むとそれが良くわかる。数学の世界での偉人た…

はじめからの数学 (4) 確率と統計~不確実性の科学

はじめからの数学 (3) 数 ~コンピュータ、哲学者、意味の探求

はじめからの数学 (2) 代数学 ~集合、記号、思考の言語

はじめからの数学 (1) 幾何学 ~空間と形の言語

ローマ人の物語 17,18,19,20 悪名高き皇帝たち (1,2, 3, 4)

塩野七生 カエサル、アウグストゥスの後の四人の第一人者(皇帝)の時代が描かれている。 並べると、 ティベリウス(年寄) カリグラ(若造) クラウディウス(年寄) ネロ(若造) の四人となる。ティベリウスの巻の冒頭は、ナポリ湾にある小さな島の話ではじ…

寝床術

睡眠文化研究所 編 私は睡眠が好きだ。世の中には、長時間寝るのが苦痛だという人も、少なくないが、私は、たくさん寝るの平気。みなさんは、どっち派?なので「心地よく寝たい」という要求は強く、この本は、そういう私の目に止まった。書名からすると、HOW…

職人暮らし

原田多加司 古いお宮など、歴史的建造物の屋根を「葺く(ふく)」職人の親方である原田氏が、土木関連の職人の仕事、生活などを書いた本である。彼が書いているように、今は一種、職人ブームといった状況で、たくさんの本が出ている。しかし実際に職人が書いた…

決断力

羽生善治 短い、やたらにキレのある文がならんでいる。彼の将棋も、こういう感じなのだろうか。私は将棋は頓珍漢なので、わからないが。ここ20年で、将棋の世界は大きく変わったそうだ。要するにIT化の波が押し寄せたためだ。彼は、昔の名人と、現代の将棋指…

ミステリオーソ

原寮 原寮のエッセイ集だ。最近、あまりエッセイは読まなくなっていたのだが、伊豆旅行の友として、こういうのもありかな、と選んだ。結果、なかなか良い選択だった。というのは、旅行中というのは細切れの時間がけっこうあり、その瞬間瞬間に、ちょっとした…

ガリア戦記

カエサル これが2000年前の本だとは。人間はちっとも進歩していない。ガリア戦記は、ジュリアス・シーザーこと、ユリウス・カエサルが、2000年前に実際に自分が指揮をしたガリアでの戦いを記録した書物だ。ガリアは今のフランス、ベルギーとドイツあたりを指…

ドラゴンヘッド

望月峯太郎 面白かった、といっていいのかな、とにかく、どっぷりハマった。読んでいる途中、現実世界で、けっこう大きな地震があって、マジでビビってしまった。ゴールディング『蠅の王』の影響は確かに強いが、別の作品になっている。 (ちなみに映画『ド…

東京ゴッドファーザーズ

今敏 今敏のアニメだ。『パーフェクトブルー』『千年女優』と見て来て、どうも私にはあわない監督だな、と思っていたが、これは良かった。今敏のアニメ映画は、なぜわざわざアニメでこんなのをやるのか、と言われてきたし、私もそう思っていた。実写のような…

Mr.インクレディブル

ブラッド・バード こいつには脱帽。さすがというしかない。『APPLESEED』や『スカイキャプテン』が、半歩趣味の域にあるのに対して、こちらはしっかり商業映画である。『APPLESEED』と同じくフルCG映画だが、表情が生き生きしていて見事だ。うーん、あまりに…

APPLESEED

荒牧伸志 士郎正宗原作の漫画を映画化したものだ。夜中に『MONSTER』と一緒にやっていた『攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG』が終わって、そういえば見ていなかったな、と思い出して見る事にした。ハウルやイノセンスと同時期の公開だったので、見に行けていなかっ…

スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

ケリー・コンラン 1960年SF風というか、空想科学小説風なセピア色の映画だ。マッドサイエンティストが、科学者11人を集めてロボット軍団を作り、世界各地に攻め入るのを、プロペラ機を駆ってやっつける主人公スカイキャプテンの物語だ。セット撮影でなく、…