2003-06-01から1ヶ月間の記事一覧

夏みかんの午後

永井宏・著 Bunkamuraの洋書屋にいったときに買ったかわいいペーパーバックです(洋書ではありません)。表紙も中のレイアウトもとても涼しげなのに惹かれて買ってしまいました。東京から三浦半島の葉山に引っ越した31歳の女性の話です。数年前のテレビドラ…

地球環

堀晃・著 http://www5a.biglobe.ne.jp/~sakatam/book/cyborg.html に詳しく紹介されています。堀晃はハードSF作家ですね。ハードSFの定義ってSFの定義同様さまざまなので、ハードSF作家とは呼ばない人もいると思いますが。昔『太陽風交点』という短編集を読…

人狼

やっぱ子供っぽいかもしれないけどアニメ好きなんですね、私は。人狼もビデオで借りて見てみました。しかしこれはシナリオが完全に自己満足になっている。まるで高倉健だ。だめだね。 2001/7/22 few01 2003/6追記 アニメーターの間では、最後のセルアニメと…

メトロポリス

りんたろう・監督 手塚治虫の漫画をもとに、アキラの大友克洋が脚本をかき、それをりんたろうが監督した超大作アニメです。何が「超」かってフルアニメですよ。いまどき。話は手塚治虫の漫画と、フリッツラングの『メトロポリス』を足して大友流に味付けした…

まっぷたつの子爵

イタロ・カルヴィーノ・著 カルヴィーノはどれも好みなのですが、読むのは決して楽ではないので、一冊一冊読み進めています。最近読んだ二冊の内の一冊です。やっぱ面白いですね。発想がまったく常人でない。エンターテインメントとかいうような、やわな世界…

プロレタリア文学はものすごい

荒俣宏・著 なぜ荒俣先生は目の付けどころが良いのに、どうしてこれほど紹介文が下手なのか。不思議でならない。もうその世界では大御所なのだから、いいかげん文章書くのはやめて、若い文章うまいやつらを掻き集めてアシスタントとしてこきつかって、プロデ…

パロマー

イタロ・カルヴィーノ・著 偏執狂的なおとぼけおじさんパロマー氏を通じて、世界の捉え方を解体してゆく不思議な小説です。けっこう難しい、というか、発想の転換を要する小説なのだけれど、単純にすごく面白い。ジャン=ピエール・ジュネとかきっとすごく影…

なつのひかり

江国香織・著 江国香織という作家もけっこう気になっていた一人だ。2001年は気になっていた女性作家の作をいろいろ読んだ。寮美千子、竹下文子、上橋菜穂子、宮部みゆき、恩田陸、長野まゆみ、そして江国香織である。男性作家が少ないのは、同性として寂しい…

ナイトメア ビフォア クリスマス

ティム・バートン監督 ティム・バートンの作の中では何故か後になって見た人形アニメーション映画だ。無気味だが妙に可愛い怪物共が、テンポ良く動くミュージカル仕立て動き回る。どこをとっても趣味的な楽しみが満載の素敵な映画だ。熱狂的かつ息の長いファ…

ドリトル先生のイギリス

南條竹則・著 読む前は、ドリトル先生をなぞりながら英国案内する本かと思ってました。そうではなくて、南條氏によるけっこう本気のドリトル先生評でした。当時の英国の状況を参照しながらドリトル先生シリーズを読み解いて行く、正統派です。そのため決して…

スーパートイズ

ブライアン・オールディス・著 結局キューブリックは何を描こうとしたのか、あのスピルバーグの恐怖映画ではさっぱりわからなかったので、原作を読んでみました。原作はブライアン・オールディスの3つの掌編です。この短編集にはその三作と、その他にあまり…

この人ゴミを押しわけて、はやく来やがれ王子さま。

イチハラヒロコ・著 Oceanさんから貸してもらった一冊です。これは傑作ですね。「言葉の力」というやつを久しぶりに実感しました。太ゴシックが似合います。この本のおかしさ、おもしろさを何とか説明しようと、語れば語るほど、語るに落ちる、というか、離…

カラフル

森絵都・著 死んで天国or地獄へ行く途中で、くじにあたって、もう一度、現実世界へ一時帰国しなければならなくなった男の子のはなしです。とてもよくできた楽しい青春小説です。伏線があからさまなので、先が読めるのですが、話の良さは損なわれていません。…

りかさん

梨木香歩 からくりからくさのおまけ、とでも言うような薄い児童文学です。時間的には、からくりからくさの主人公である蓉子の子供時代にあたります。からくりからくさでは、狂言回しに近い役回りの、りかさんが主役級で登場する楽しい話です。 2001/7/22 few…

もりのへなそうる

わたなべ しげお/さく やまわきゆりこ/え 福音館書店 1971年 娘が図書館から借りてきていたのを妻が楽しそうに読んでいたので、思わず読んでしまった。いいよこれ。男の子の二人兄弟がもりにって、へなそうる、と友達になるはなしです。やまわきゆりこさんの…

ファンタスマゴリア・デイズ

たむらしげる いまでは、ほとんど省みられないCD-ROM作品というジャンルがあった。今もそれなりには作られているのだろうが、不幸にして良い作品を知ることがない。衰退の原因はWebが表現手段としてCD-ROMに匹敵する力を得た点と、Playstationをはじめとする…

丹生都比売(におつひめ)

梨木香歩 読んでからずいぶん時間がたってしまったため、もう一度読み返さないとちゃんとしたレビューは書けない。ここには読み終わった当時どう感じたかを思い出して書き残すことにする。まず、そのブックデザインがしぶく奇麗だと感じた。上等の和菓子のよ…

ダ・ヴィンチのファンタジー特集へのコメント(第二弾)

さてダ・ヴィンチの特集へのコメント第二弾です。けっこう読んでいない本がある。 読んでいないおもしろい本があるのは嬉しいことです。 > 『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ/著 上田真而子、佐藤真里子/訳 これは大学生の時に読みました。S.E.O.さんに…

ダ・ヴィンチのファンタジー特集へのコメント(第一弾)

本紹介の雑誌ダ・ヴィンチでファンタジーが取り上げられていたので久しぶりに買ってみました。MOEの4月号もファンタジー特集でしたね。指輪効果おおきいな。 さて、ダ・ヴィンチの特集は、 「『エルマーのぼうけん』から『指輪物語』までなつかしの名作ファ…

弥勒

篠田節子 『ハルモニア』を読んで以来、気になる作家の一人で、ぜひとも『弥勒』は読んでおきたいと思っていた。『ハルモニア』はかなりできの良い面白い作品(SFもしくはファンタジー)なのだが、最後あたりの決着の付け方がまずく消化不良の感が強かった。…

蟲師  1, 2

漆原友紀 ヴィレッジ・バンガードで購入した漫画です。漫画を買うのはすっごく久しぶりだ。「蟲」(ナウシカ以来、普通の言葉になった^_^;)という名前の妖怪にまつわる中・短編集です。名前は「蟲」ですが、狐憑きや、神隠し、塗り壁、河童、むじななど古い…

しろくまだって

斉藤洋・作、高畠純・絵 ユーモアあふれる楽しい話です。娘が学級文庫(なつかしぃ)から借りてきていたのを読みました。高畠さんの絵がかわいい、特に"WHITE BEAR Express Company"のトレードマークがいいです。カナダに住む二頭の白熊兄弟が主人公のファン…

三宅興子『おばあさんとひこうき』評を読んで

児童文学書評サイトにおいて、以下の評論を見つけ、なかなか興味深い議論が展開されているので、感想と反論を書いてみることとした。『おばあさんのひこうき』三宅興子「日本児童文学」1978/03(特集 佐藤さとるの世界)第24巻第3号 http://www.hico.jp/saku…

メガスター

先日、すごいプラネタリウムを見てきました。 http://www.megastar-net.com/J-WAVEのイベントとして、渋谷の五島プラネタリウムで公開されていたので、家族で行ってきました。最近、テレビやラジオで取り上げられることが多いので御存じの方もいらっしゃるか…

サトラレ

監督・本広克行 踊る大捜査線、スペーストラベラーズの本広氏の「サトラレ」を見た。ノリはそれらに近いが、少し押さえられており絶妙なバランスが保たれている。「踊る...」や「スペース...」でもそうだが、身近な人情話を、やたらに大げさな演出とからめて…

それいぬ

嶽本野ばら そこらにおいてあった派手な表紙の薄い文庫本だったので、手に取って読んでみました。そして予想以上に苦戦して、読み終わるのにけっこう長い時間かかってしまった。どうしても鳥肌が立つ、というか生理的に避けそうになるんだな。それで読みすす…

puzzle

恩田陸 私にとって『上と外』で少々はずした感のある恩田陸だったが、大はずれではなく、少なくとも巧い作家クラスであることは確実だとランキングされた。巧さでいうと、宮部みゆき、高村薫クラスには到らないが、その下あたり。後は趣味性、というか扱われ…

かめくん

北野勇作 いたるところに散りばめられた過去のアニメ、SF映画、日本のSF小説の断片、と、商店街や図書館、安アパートなどのどこにでもある日本の街の風景の合体した作品で、それ自体は、楽しくはあるがそれほど目新しくはない。SFアニメやSFマンガで良くある…

上と外

恩田陸 少年少女冒険物語、よいではないか。いまどき。中学生の練(れん)と、妹の千華子(ちかこ)の二人の冒険の物語だ。いろいろと考えさせるところがあり、冒険自体も盛り上がって面白かった。しかし、まずひとこと言いたい。6巻にばらされてはいるけれ…

アナン

飯田譲治、梓河人 しばらく前に夢中になって読んで、そのまま怒濤の忙しさにまぎれて、感想を書く暇がとれずにいた。書き始めて見よう、書き終われば投稿しよう。上下巻あわせて700ページある。なかなか読みでがあり、うれしい。ずいぶん浸って読んだ。とて…