2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

魔法ファンタジーの世界

脇明子 導入と四つの章から構成されている。導入部には、今の児童文学ファンタジーを取り巻く状況を、たんに上っ面をなぞるのではなく、著者自身の立ち位置から嘘をつかないように問題に迫り、的確にまとめている。脇氏はノートルダム清心女子大の教授であり…

月刊言語2006年6月号 特集「ファンタジーの詩学 ---想像力の源

月刊言語2006年6月号 特集「ファンタジーの詩学 ---想像力の源泉をたずねて---」 http://thistle.est.co.jp/tsk/detail.asp?sku=50606 言語学関連の雑誌「言語」でファンタジーの特集が組まれていた。 特集記事は以下の通り: [1] 二重性の文学としての…

MIND HACKS -実験で知る脳と心のシステム-

Tom Stafford and Matt Webb だまし絵を見ると、世界が揺らぐ。 同じ長さの棒の長さが違って見える。 あるはずの無い図形が見える。 止まっている絵が動いて見える。 私たちは、自分の五感で感じている世界が、継ぎ目なく辻褄があっていると、信じている。自…

あたらしい教科書 3 ことば

加賀野井秀一、酒井邦嘉、竹内敏晴、橋爪大三郎 「あたらしい教科書」というシリーズが刊行されている。その第3巻が「ことば」だ。なかなかいい。大変丁寧な本作りがされている。プチグラパブリッシングという出版社は知らなかったが、チェブラーシカや北欧…

ソング・ブック

谷川俊太郎+谷川賢作 「ゆっくりゆきちゃん」を知っているだろうか。あんまりゆっくりなので、ゆっくり朝の準備をして、たどりついた学校はもう終わっていて、家に戻ったら、娘が三人生まれていた、という、ナンセンスが混じった、谷川俊太郎の詩だ。究極の…

かもめ食堂

荻上直子 今日(2006/5/1)は平日ながら職場が休み、妻は仕事、娘は学校なので、家に一人だ。掃除をして、さて、どう時間を過ごそうかと考えて、映画を見に行くことにした。近所のシネコンの上映リストを眺めてみたがめぼしい物がないので、ちょっと遠いけど、…

最後の一壜

スタンリイ・エリン ゆっくりと読んでいたミステリ短編集『最後の一壜』を読み了えた。ちょっと古いが、1963年から78年にかけて1年に1作づつ書かれた短編集である。どれも丁寧で、密度の濃い読書時間を約束してくれる。なお、ミステリとしての切れ味は鈍い…