2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ホワイトヘッドの哲学

中村昇 じゃぁ、人間の眼は簡単にだまされる、オンボロなのか、というと、話はそう単純ではない。例えば、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫色に反応する眼を持っていたとする。そうすれば、もっと正確に色を見ることができる。ところが数が増えると色々と問題が出…

錯覚する脳 -「おいしい」も「痛い」も幻想だった-

前野隆司

錯覚する脳とホワイトヘッド(その4)

錯覚する脳とホワイトヘッド(その3) 人間の目と色

これまで赤いとか青いとか言っていたけれど、それは、人間が見てそう思う、ということだ。人間の目を無視して色を名づけることはできない。「700nmの波長の光」と「人間の頭の中の赤」が一致しているから、700nmの光は赤い、ということになる。ここで三原色…

錯覚する脳とホワイトヘッド (その2) 物の色

真っ暗な部屋の中だと物は見えない。見えるのは自分から光を出している物、つまり明かりだけだ。部屋の電気をつけると物が見える。だから物の色は、明かりから出た光が、物の表面や内側で反射した光の色だとわかる。では物の色は、明かりの色と同じか、とい…

錯覚する脳とホワイトヘッド (その1) 明かりの色

明かりに色があることは誰でも知っている。太陽の光は白く、真夏などは青白いと思えるほどだ。もちろん眩しさ、光の強さもあるが、色もある。朝や夕方は赤い。赤黄色いという感じか。季節や天気、空気によってずいぶん色は変わる。冬の関東の朝夕の太陽は格…

非属の才能

山田玲司 「非属」というのは、群れに属さない、という意味だ。最初のページに以下のように書かれている。 ・「空気が読めない奴」と言われたことのあるあなた ・まわりから浮いているあなた ・「こんな世の中おかしい」と感じているあなた ・本当は行列なん…

東京奇譚集

村上春樹 実を言うと、村上春樹を最後まで読み通したのは初めてだ。以前『世界の終わりと、ハードボイルドワンダーランド』を友人から薦められて、半分まで読み挫折した経験がある。その後も、数ページ読んだ小説はいくつもあるが、読み終わった事が無い。読…

それでも自転車に乗り続ける7つの理由

疋田智 もう一度、自転車に乗ろうと思っている。すでに廃車寸前の古い自転車は粗大ゴミに出して、来年春、自転車を買うことを目指している。この本が、そのきっかけだ。著者は、TBSのディレクターで、毎日、自転車で24kmの通勤をしている。その道(自転車ツ…

夫婦って何?「おふたり様」の老後

三田 誠広 近所の本屋に行ったら、ベストセラーの棚のトップに上野千鶴子の『おひとりさまの老後』という本が並んでいた。タイトルは、この三田の本のパクリだな。しかし、おひとりさまの老後についても、もちろん色々と考えておくべきことは多いだろう。こ…

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

内山節 1965年まで日本人は、全国各地で、キツネにだまされていた。しかし1965年以降、日本人は一切キツネにだまされなくなった。著者は、山野を巡って釣りをするのが趣味で、いまは群馬県上野村に家を持つ。彼は山村で村人から、キツネにだまされた、という…

早起きで人生が変わる! -より輝いた自分になる50の方法-

中山庸子 しばらく前から、朝早めに出勤するようにしている。いまは家と職場が近いので、特別な努力をしなくても、朝早く行くのは難しくない。そして、早朝出勤と合わせて、早起きを習慣づけたいと思っている。ただ、こちらは、必ずしも上手くいっていない。…

老人とカメラ -散歩の愉しみ-

赤瀬川原平 あいかわらず写真を撮るのが好きだ。まぁ、それでも、重たいカメラを担いで撮影しようという気には、もうなかなかなれない。小さなデジカメをポケットに入れて散歩するのがせいぜいだ。でも、愛用のHEXARを持ってゆけば、写真を撮るのはずっと楽…

生物と無生物のあいだ

福岡伸一 今年(2007年)の新書界でのニュースともなった一冊である。面白い上に、深みがあり、色々な事を考えさせられる。バイオ関連の専門的な内容が盛り込まれているが、かなり間口を広く、敷居を低くしてあるので、科学に興味のある人なら理解し、読み通せ…

[Movie] フラガール

李相日 これは良い映画だなぁ。私の中で印象の近い映画は『スウィングガールズ』『ウォーターボーイズ』『シャルウィダンス』『ピンポン』あたりかな。どれも好きな映画だ(みんなカタカナなのは偶然の一致か)。常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイ…

幼年期の終わり

アーサー・C・クラーク (光文社古典新訳文庫) 池田 真紀子 (翻訳) 光文社古典新訳文庫の最新リリースとして、『幼年期の終わり』が刊行された。私が最初に『幼年期の終わり』を読んだのは、たしか高校生の時で創元の沼沢訳だった(Over Loadが上主と訳されて…

鬼怒川 東武ワールドスクエア

10月の半ばに鬼怒川に職場のみんなで行った。ライン下りで船に乗ったが、なかなかいいもんだな。まだほとんど紅葉していなかったが十分な景観だった。動力が無い船なので水の上をすいーっと走る。モーターボートや車などの強引さがなく気持ちの良いものだ。…

もやしもん

石川雅之 東京農大の厚木キャンパスを彷彿とさせる、「某農大」が舞台のコメディで、北大獣医学部が舞台の『動物のお医者さん』にポジションが近い。沢木という新入生が主人公。彼は種麹屋という、醤油や味噌、酒などの麹を作る家の息子だ。ただ特殊能力があ…

世界最速のインディアン

ロジャー・ドナルドソン アンソニー・ホプキンス主演の実話をもとにした映画だ。大画面でゆったりもう一度見たいと思った。良い映画だ。インディアンというのはオートバイの名前で、アンソニー・ホプキンスがインディアンというわけではない。彼は、ニュージ…

ローマ人の物語『終わりの始まり』29巻〜31巻

塩野七生 この巻は、五賢帝の五人目、マルクス・アウレリウスから語り始められている。塩野氏が上手いのは、どの本を読んでも、その本で取り上げられている人に興味を抱かせるという点だ。ローマ「人」の物語、と言う通り、人が中心の歴史物なんだな。ハドリ…

「青山二郎の眼」展

http://www.fujitv.co.jp/events/art-net/go/462.html 白洲信哉 白洲信哉というディレッタントがいる。モーツアルト似のぎょろっとした眼で、俳優といっても通じる雰囲気の男だ。1965年生まれ。彼が、講談社の『最高のサービス』というムック本で、血統の良…

「日展100年」展

国立新美術館 完成してから一度は行ってみたいと思っていた国立新美術館を妻と訪れた。地下鉄千代田線の乃木坂駅から、館内へ直接入ることができ、大変交通の便が良い。国立新美術館は、東京大学生産技術研究所の跡地で、さらに戦前は陸軍の兵舎だったそうだ…

パプリカ

筒井康隆 私の友人に、素面のときは大変にこやかで真面目な紳士だが、酒が入ると驚くほど雄弁に卑猥な妄想を語る人がいる。その妄想を聞きながら、なんだか懐かしいな、と思っていたが、そうだ筒井康隆の小説がまさに妄想小説だったのだと思い出した。今敏が…

攻殻機動隊 Stand Alone Complex - Solid State Society

神山健治 NHKで放送された『精霊の守り人』の監督である神山健治が、その製作に入る直前に作ったのが、この攻殻機動隊 SAC-SSSだ。SACのファンには大変評判が良かったので、見てみた。結論から言う。面白かったが、そう騒ぐほどのものではない。製作費に3億6…

ぼくらの七日間戦争

宗田理 初版発行は1985年だ。1985年といえばバブル、トピックを列挙すると 北の湖、柔道の山下が引退 夏目雅子が死去 8時だよ全員集合終了 つくば万博 電電公社がNTTに 専売公社がJTに 芦屋市幼児誘拐事件 ゴルバチョフ書記長就任 東北新幹線の大宮--上野間…

神童

さそうあきら 八百屋の息子で、音大浪人中の和音(ワオ)が、野球が好きな小学生の天才ピアニスト「うた」と出会って、共に成長する漫画だ。うたが、八百屋でリンゴを選んでもらっている。ワオの親父がリンゴを指で弾いて、これがうまいと薦める。ワオも指で弾…

ドミノ

恩田陸 夏になると各出版社が夏休み向けに文庫フェアを開始する。すでに読んだ本、名作だが読んでない本、昨年話題になった本などいろいろ並んでいて、セレクションにこめられた各社の狙いが見えて面白い。集英社は『こころ』『銀河鉄道の夜』『友情』の表紙…