世界と日本のアニメーション ベストオブベスト


阿佐ヶ谷ラピュタhttp://www.laputa-jp.com/で開催されている「世界と日本のアニメーション ベストオブベスト」のFプログラムを、職場の仲間で見にいって来ました。


Fプログラム
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/bestanime/f_pro.html


Fプログラムはラピュタアニメフェスで過去受賞した自主制作作品と、いくつかのプロ作品、そして『岸辺のふたり』(Father and Daughter)(マイケル・ドュドック・デ・ビット)という有名な海外作品が上映されました。

最後に見た『岸辺のふたり』はすばらしい短編でした。話は少しファンタジーの入ったシンプルなものです。特に驚きを感じるほどではありません。しかしそのシンプルなストーリーをとにかく丁寧に、かつ無駄なくスタイリッシュに仕上げてあります。まるで宝石のような短編アニメーションでした。

小さな女の子の時から、だんだんと大きくなってゆく娘が、いつも自転車にのって画面に現れるのですが、その動きや、ちょっとした仕草が繊細で、何の音もない、単純な絵柄なのに、風の強さや、道の状態、彼女の心の動きまで、すーっと伝わってくる。海を飛ぶ千鳥の群れや、草原、暮れてゆく空、雪や雨、素描画のように単純な絵柄での表現が見事でした。

ほかには、以下の作品が印象に残りました。みな短編なので内容に触れにくいです。紹介はご勘弁を。『修行中でござる』福島治『HAPPY BOGEYS』 栗原崇 『東京アニラソン』高松洋平 『朱の路 』村田朋泰 『PLANET 』関口和

行った仲間の数人は『ボーノーモ ブスタマン 』富永舞 というのが気に入っていたようですが、私はちと笑いの毒が好みでなかった。

全部で1時間半ほどでした。けっこう長い。ほとんどセリフらしいセリフはありません。せいぜい音楽と効果音程度。それを、観客が黙って見ている。

これほど、言葉の無い長い時間に浸るのはひさしぶりで、自分が日頃、どれほど文字や言葉にまみれた世界で生活しているか思い知りました。

本を読んだり、新聞を見たりしている時はもちろん頭の中で言葉が踊っていますし、テレビは言うまでもなく、言葉だらけです。家族といるときも、何かしら喋ったりしているものです。パソコンは文字マシンとすら言える言葉の機械です。日常生活で言葉がないのは、寝ている時ぐらいでしょうか。

映画が終わって言葉の世界にもどってきても、しばらくは、ぼーっとして、言葉が何やら猥雑なもののように感じてしまいました。しかし言葉なしでは私は生活ができない。なぜそういう不自由なことになってしまったのか、そういう一種の反社会的なことすら考えてしました。

映画の後、ラピュタの最上階にある『山猫軒』というレストランで、仲間達と見た映画のことなどを話しながら食事をしました。テラス席で雨上がりの乾いた風が吹いて、たいへん気持ちがよかった。食事も相当においしかったですよ。お近くの方にはおすすめできます。

入り口には宮沢賢治の『どんぐりと山猫』の山猫からの手紙が貼ってありました。

2003/5/13 few01