妖精物語について

J.R.R.トールキン

妖精物語について―ファンタジーの世界


図書館から借りて読みました。その中で芝居でファンタジーを表現するのは不可能に近いという下りがあり、そこが先日私が『ロード・オブ・ザ・リング』の問題点として書いたのと、重なる論考になっており、さすが先生、と思いました。

要は芝居は鑑賞者にとって現実ではなく、そこで語られるファンタジーは、鑑賞者から一歩遠くなってしまう。それに対して文章は、鑑賞者の内側に世界を構築するため、ファンタジーが一歩近い位置に成立できる。この違いが芝居でファンタジーを表現できない理由だ、と書かれていました。

映画も芝居と同じだと私は思います。映画もどれほどリアルに作られていても、それは私の外側に構築されたものでしかない。どうあがいても私の内側には入りこめない。だからファンタジーは、そのさらに外側にしか表現できない。


2003/6/17
few01