秘密

原作:東野圭吾、監督:滝田洋二郎 、脚本:斎藤ひろし


以前、チミーに勧められた『秘密』という映画をテレビでやっていたので見た。ほとんどのシーンが広末涼子小林薫の二人芝居なんだが、なんとも切ない。万人にすすめられる映画じゃないけど、俺は気に入った。

バスの転落事故で母と娘の内、母だけが死んでしまう。残された娘が広末涼子。ただ、体は娘だが、心は母親になってしまっていた。

この映画でのファンタジーはこの1点だけで、それ以外は普通の生活が続く。この映画がうまくいっているのは、この点を実に丁寧に描いているところだ。実に危ういファンタジーなので、見ている人、誰もが共有できるとは思えないのだが、無理矢理分からせようとしない。これはハリウッド流じゃないな。

広末涼子のファンというわけではないが、この映画はまさに彼女の旬を捉えていると思った。咲いたばかりの瑞々しい花のようだ。それと小林薫がうますぎる。TVでまた『キツい奴ら』とかやらないかなぁ。

もう一つ大きいのは母親役の岸本加世子の存在感だ。見ているとふと広末涼子が岸本加世子に見えてくる瞬間がある。合成映像の類は憶えている限り一切ないのだが、そういうのが何度かあってかなりドキッとした。これは広末の演技力うんぬんではなくて、岸本加世子という実にキュートなおばさんの力だと思った。


2001/2/17
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