しろくまだって

斉藤洋・作、高畠純・絵


ユーモアあふれる楽しい話です。娘が学級文庫(なつかしぃ)から借りてきていたのを読みました。高畠さんの絵がかわいい、特に"WHITE BEAR Express Company"のトレードマークがいいです。カナダに住む二頭の白熊兄弟が主人公のファンタジーとメルヘンの中間あたりの話です。彼等は人間の言葉を喋るのですが、それにもいちおうの理由がつけられています。途中から人間の住む町に行くことになるのですが、我々同様、町の人々はクマが喋るのには驚きます。ただ帽子をかぶり双眼鏡を首から下げて(これが絵になる)、クマの着ぐるみを着ている人と思い込んでいる、という設定になっています。まぁ人間の道具からクマが自分で学習して、人間語を喋るようになる、というのはあきらかなメルヘンなのですが、微妙なバランスが斉藤氏の持ち味なのでしょう。この手のメルファンタジー(と勝手に名付けました)は作者の甘えがでることが多く、収穫の少ない分野なのですが、斉藤氏はプロですね。なにはともあれクマ兄弟の振る舞い(性格が違う)が、ほんわかした漫才のようで楽しい。続編として『やっぱりしろくま』というのがあるらしい、そっちも読んでみたいな。兄弟の名前がカールとマルクなのだけど、これはやっぱりカール・マルクスか?


2002/5/26
few01