丹生都比売(におつひめ)

梨木香歩


読んでからずいぶん時間がたってしまったため、もう一度読み返さないとちゃんとしたレビューは書けない。ここには読み終わった当時どう感じたかを思い出して書き残すことにする。

まず、そのブックデザインがしぶく奇麗だと感じた。上等の和菓子のような、袱紗に包まれた手紙というような、美しい装丁だ。

肝心の小説はどうかというと、いま一歩、と感じた。興味深い題材を、きれいな日本語で、うまく描写している。しかし長野まゆみ未満、というか、一種の少女趣味が中途半端にペダンティックなベールをまとっている、という印象を持った。

梨木香歩のこれ以外の小説『裏庭』『西の魔女が死んだ』『からくりからくさ』『りかさん』は、どれも好きだが、この小説は好きになれなかった。なぜだろう。


2002/5/9
few01