ケータイを持ったサル --「人間らしさ」の崩壊--

正高信男(中公新書
ケータイを持ったサル―「人間らしさ」の崩壊 (中公新書)


軽い気持ちで手に取った新書だったが、なかなかどうして読み始めたら止まらないほど面白い本だった。特に中に出てくる実験が楽しい。ケータイ族と非ケータイ族で信頼ゲームを実際にやらせて収支を計算するなど、ほんとにやるとは。

著者は京大霊長類研究所の教授で、私より十歳年上。ある仕事の関連で、今まで足が向かなかった渋谷109付近に何度も宿泊しなければならなくなり、早朝マックに行ったときに、宇宙人に取り囲まれているように感じた経験が出発点になっている。それは密林に分け入って猿の群れに遭遇した時と類似の経験だったらしい。

じつは携帯電話にからむ話題は一部で、主論は、日本人全体の構造的な社会崩壊である。

生物学的には40歳は社会的有用性の曲がり角、というのは知らなかった。なるほどねぇ。


few01
2004/11/9