[Movie] 千年女優

今敏

千年女優 [DVD]


職場のDLPプロジェクターを借りてミニ上映会を開いた。そこで見たのが後輩の持って来た、このアニメ映画である。しばらく前に公開され、山の手線沿線に大きな看板が立っていたりしたので、それなりに評判を呼んだと記憶している。現実と想像の世界が混交した話だが、ファンタジーではなく、メルヘンや幻想小説に近い。作りの雰囲気としては『ビューティフルマインド』が近いかもしれない。ただまったく暗くなく、あっけらかんとしているが。

小さなビデオ制作会社のスタッフが往年の大女優をインタビューしに行く話である。女優に若かりし頃の話を聞いているうちに、聞いている話と聞いている人たちが一緒の舞台になり、さらにその舞台が彼女が出演した映画と一緒になり、どこまでが過去の話なのか、映画の話なのかわからないようになってゆく。映画は現代劇あり、時代劇あり、忍者活劇、幕末、戦争物、SFあり、で次々に移り変わるので、笑いがでるほどめまぐるしい。ただ、流れはシンプルで、彼女が青春時代にすれ違ったある男性を探して、追いかけて、追いかけて、追いかけて、追いかけて、追いかける(^_^;)、という話だ。

スタッフは『パーフェクトブルー』という、相当にマニア入ったサイコサスペンスアニメを作った連中で、あれ同様に、とにかく絵の緻密さがすさまじい。洋服の皺の一本一本、走る時の手の動かしかた、髪の毛の動きなど、執念を感じる。私などは、どうしてそこまでセルアニメでやるのだろう、と思ってしまうが、突き詰めればそれもオリジナリティなんだな。


2003/11/29
few01