バイオハザード

バイオハザード [DVD]
ポール・アンダーソン


ゾンビがたくさん出てきて、血みどろになるので、その方面の嫌いな方は避けた方がいいと思う。

ビデオゲームバイオハザードシリーズは、言うまでもなくカプコン社がドル箱としている人気シリーズで、私も何度となくゾンビとの戦いにあけくれた。そのゲームをもとにした映画である。

そもそもゲームをもとにした映画という段階で、映画の深みとか、役者の微妙な演技とか、そういう変な期待をしてはいけないわけで、私もそのつもりで見て、そしてその期待に対して十二分に答えてくれる、なかなか良いアクションSF映画であった。少なくとも私には、鼻っからハリウッドで企画されたジャン・クロード・バンダムとかの映画に比べればずっといい。

設定や話は、ほとんど意味ないので紹介するまでもないのだが、簡単に書く。近未来の話で、アンブレラという巨大企業が兵器として作ったTウィルスというのがある。このTウィルスというのが感染するとゾンビになったり、怪獣になったりする。ラクーンシティの地下に作られた研究所で、ある事故があり、Tウィルスが蔓延してしまう。そこに特殊チームがやってきて、内部に入り、逃げる。それだけだ。ま、ゲームだからな。

この映画のできを良くしている最大の要素は、主役のミラ・ジョヴォヴィッチだ。キャノンのデジカメのコマーシャルで、中田と一緒に出ているあのお姉さんだ。『フィフスエレメント』『ジャンヌダルク』と見たが、とにかくバカ役者で実にいい。まっすぐに演じさせると実に見事だ。なんというか演技、喋り方、アクション、などが何やら歌舞伎を見ているような感じすらする。スクリーンの中で踊っているようで、華がある。この人が出てくると、こういうチープなB級映画(実はフィフスエレメントもかなりにそうなのだが)が、ぐっとマジに魅力的になる。

マルコビッチの穴での、マルコビッチの体の動きでもそうだが、ミラのアクションを見ながら思うのは、映画というのは人間の体の見事な「動き」を鑑賞するものでもあるんだな、というものだ。CGやワイヤーアクションが多くなると、動きを単純に鑑賞するという映画の楽しみが多少わかりづらくなっているのかもしれないと思った。

この映画の残りの魅力は、まず下手な小理屈をこねない所だ。そもそもB級なのだから、変に人生がどうこうとか、心理がどうこうなどとスピルバーグのようなことを言い出すと、鼻白んでしまうのだが、実は日本の作家が時々そういう間違いを犯す。この映画には全くない。

それからセットや、CGが丁寧である。決して驚くほど精巧というような金は明らかにかかっていないのだが、少ない予算を使って上手くプレハブをこしらえている。それでいて莫大な興行収入を稼いでいるのだから、売れる映画の見本のようなものだ。

今年秋には続編が公開されるらしいので、もしかすると大画面でミラを見たさに映画館に足を運ぶかもしれない。