楽園のつくりかた

笹生陽子
楽園のつくりかた (角川文庫)


最近、人気のある児童文学作家らしい。私ははじめて読んだ。相当に上手い。やられた、と感じた。

都会の進学校から、田舎に引っ越してきた中1の少年の話だ。この少年、主人公らしからぬ、ちっとも可愛げのない、ガリ勉で、鼻持ちなら無い奴である。それが話の鍵になっている。

クラスには、3人しかクラスメートがいない。マスクをして表情の見えない無口な女の子、猿のような野生児、それと美少女の3人だ。主人公を含め4人、それぞれに訳がある。

子供の描写がうまい。プロットがよくできている。多少作り物めいた感じが、しないではないが、それを補って余りある、魅力的な話になっている。

電車での移動中に、短時間でさっさと読めたが、読んでいる間は、主人公と同じ場所に行っていた。


追記:2003年末にNHKでドラマ化されたらしい。見てみたかったな。