神はサイコロを振らない

神はサイコロを振らない DVD-BOX


今クールのTVドラマで毎回楽しみにしていた『神はサイコロを振らない』が最終回を迎える(2006/3/12の文章)。最初はSF風味なコメディドラマだと思っていたが、立派にSFだ。というか最近久しぶりにまっとうなSFだと思う。

マイクロブラックホールが、どうこういう御託は、まぁ味付けであって、というかSFというのは、そもそも科学的な論拠は重要ではないと、私は思っている。まじめに検証しだしたらボロが出るSFなどいくらでもあって、少なくともその話の中では登場人物たちが、避けられないと思っている科学技術的な災難に、どうやって立ち向かい、回避するかが主眼だと思う。

このドラマでは、10年前に消息不明になった小型旅客機が現代に戻って来た、という事実にどう立ち向かうか、が最初の設問だった。そして今は、10日後には彼らが皆いなくなってしまう、という新しい設問にどう立ち向かうかが課題である。『夏への扉』『タウ・ゼロ』や『冷たい方程式』を思い出す。

10年間のギャップは、さまざまに具体的な影響を、関係する人に与えている。手を抜かずに、それら小さな心の動きを正確に描写しようとする姿勢がSF的だと思う。

特にうまいなと思ったのは、登場人物たちが互いを呼び合う呼称が、微妙に変化してゆくところだ。呼び名って人間関係を作るのに大事だな、と改めて思った。