かもめ食堂

荻上直子
かもめ食堂 [DVD]


今日(2006/5/1)は平日ながら職場が休み、妻は仕事、娘は学校なので、家に一人だ。掃除をして、さて、どう時間を過ごそうかと考えて、映画を見に行くことにした。近所のシネコンの上映リストを眺めてみたがめぼしい物がないので、ちょっと遠いけど、見てみたいと思っていた『かもめ食堂』の上映されている恵比寿ガーデンプレイスまでやって来た。今日はたいへんよい天気であたたかく、平日なので電車も空いている。30分ほどでついた。エリック・カールの『はらぺこあおむし』の垂れ幕を見ながら、映画館にたどり着いた。もう封切られてから大分経つので、すいているだろうと思っていたら、平日なのにほぼ満席だった。

フィンランドヘルシンキにある、かもめ食堂(ruokala lokki)という名のお洒落な食堂を舞台にした、のんびりした映画だ。原作も相当にのんびりしていたが、映画の方は説明があまりなく、さらにのんびりしている。

映画では、かもめ食堂の背景、どうやってできたか、とか、主人公サチエの素性については何も説明されない。そのため、そもそもの存在が浮世離れした感じがする。この映画ではあえて、それを現実の方に持って行かず、多少ファンタジーの方に持って行っている。映画としては、それで正解だろうと思う。(ただ最後あたりの幻想的なカットは不要だと思った)

役者三人は、まぁ言うまでもなくぴったりで、群氏の原作も、彼女たちのアテ書きではないだろうか。三人以外のフィンランド人俳優たちもなかなか良い。特に日本かぶれのヒルトネン少年はイメージ通りだった。

映画の時間制限から、原作のエピソードそのままではなく、短めの洒落たシナリオにしてある。が、特段の盛り上がりもなく、緩急の無い映画なので、ストーリーテリングを期待すると裏切られる。

見て良かったのは、まず三人の芝居、会話が楽しめたことだ。それから原作の弱いところであった料理の魅力に関しては、さすがに映像の力で、たいへん美味しそうであった。シナモンロール、おにぎり、コーヒー、生姜焼き定食、シャケ塩焼き定食、肉じゃが、とんかつ、唐揚げ、どれもシンプルで美味しそう。

好天の午後に似合う気持ちのよい映画で、連続ドラマかなにかで、もっとたっぷり見てみたいと思った。