ことばとあそぶ おととあそぶ


玉川上水にあるロバハウスに、家族でコンサートを見に行ってきた。

多摩モノレール玉川上水駅から、川縁の遊歩道を少し歩いた川のほとりに、ロバの音楽座の本拠地、ロバハウスがある。村山雄一設計の丸みを帯びた、不思議な小屋だ。お客さんは満員、70名ほどだろうか。すし詰め状態だった。

ロバの音楽座の3人が新聞紙を持って登場するという、意表をついた形で始まった。新聞紙をはたいたり、つぶしたりするのが、だんだんと音楽になって、リズムが出て来て、3人で新聞紙の合奏と、合唱になった。このつかみは見事だ。3, 4歳ぐらいの子供達から、大人まで皆を一気に引き込んだ。

それから、ドキュメンタリー映画「みみをすます」の紹介があった。映画には、本日の出演者、谷川俊太郎ロバの音楽座の面々が出演している。生まれた時から耳の聞こえない女性と音との出会いについて描かれた良い感じの映画だった。そして、谷川俊太郎谷川賢作親子のコンサートがはじまった。

谷川俊太郎本人を目の前にするのは、なんか不思議な感じだった。目前の木の椅子に座って、テレビで見た通りに、良く知った詩を、CDで聞いた通りに朗読している。最前列の子供達との掛け合いが楽しい。日に焼けた肌で、元気そうだった。

谷川賢作は、写真ではもっと気難しい人かと思っていたが、やたらフレンドリーな気配りの効いたおじさんだった。谷川俊太郎の歌をはじめ、いろんな歌を、ピアノで弾き語りしてくれた。ジャズ風鉄腕アトムとか、さすがに上手だなぁ。

谷川親子の掛け合いも楽しかった。お父さんがボケで、息子がツッコミ。合っているようで、ちょっとズレている。男の子と、親父って、こんな感じかも。

ロバの音楽座は、以前、こどもの城で見た時よりも、ずっと近くで見れたので、彼らの演奏する不思議な楽器達をしげしげと眺めることができた。リーダーの松本氏が演奏する、ハンドル付きのアコーディオンみたいな楽器が面白い。彼らの演奏は、アンサンブルのもっとも基本的な形を教えてくれる。

音楽座のメンバとして、松本氏の二人のお嬢さんが参加されていた。二人は近所の立川市立幸小学校の卒業生で、実は、その小学校の校歌が、谷川俊太郎作詞、林光作曲だ。出演者皆で歌ってくれた。歌詞は以下の通り。
http://www.m-net.ne.jp/~saiwais/gakkou/kouka/kouka.htm
我が娘がうらやましがっていた。たしかにいい校歌だ。

彼らの演奏や、谷川親子の朗読と歌に触れていると、この時間が人生の主役のような気がしてくる。今日というのはいつも、どっか先の方や、遠くの方、未来の自分を含めた、今は知らないどこかの誰か、のためにあるのではなくて、この瞬間を楽しむためにあるのだと、信じられる気がする。

1時間半ほど、手を替え品を替え楽しませてくれる豪華な時間だった。我が娘は、会の後で谷川俊太郎+谷川賢作の「kiss」というCDを買って、二人のサインをもらい大喜びだった。