「日展100年」展

国立新美術館


完成してから一度は行ってみたいと思っていた国立新美術館を妻と訪れた。地下鉄千代田線の乃木坂駅から、館内へ直接入ることができ、大変交通の便が良い。

国立新美術館は、東京大学生産技術研究所の跡地で、さらに戦前は陸軍の兵舎だったそうだ。生産技術研究所には、研究会などで何回か訪れたことがあったが、思いっきりレトロで、上から見ると8の字型の不思議な建物だった。個人的に好きな建物だったので、無くなるのは惜しいと思っていた。当時の写真が以下に掲載されている。こうやってみると九大の本学の建物と良く似ている。
http://homepage1.nifty.com/masay/seiken/seiken.htm

さて、国立新美術館は、以下のホームページにあるように、黒川紀章がデザインしたやたらにモダンなデザインのビルだ。都知事選や参議院選でメディアに露出したので、なんかイメージ悪くなったが、建築家としては一流だ。
http://www.nact.jp/building_intro.html

行ってみると、美術館というよりは、東京ビッグサイトなどの展示場に近いと思った。この美術館は収蔵品がなく、すべて借り物で展覧会を企画するらしいが、その機能からすると、展示場に近いのかもしれない。

ところで、開放的で気持ちの良い建物で、新しいので良いのだが、美術館としてはまだまだだなぁ、と思った。誰がキュレータをやっているのかわからないが、粗雑な印象を受けた。

実は今回、「日展100年」展に行きたかったわけではなく、国立新美術館を見にいくのが目的だった。その前の、「モネ」展だと絵ではなく、人を見に行くようなことになりそうだったので、こっちを選んだだけだ。

日展100年」展では、100年の歴史の中から名品を年代順に並べたという芸の無い展覧会で、たしかに教科書に載っている作品がごろごろしていたが、とても連続して見れるものではない。

そもそも私は、公募展はあまり見に行くのが好きではない。なぜかというと、皆公募に通ることを目的に自己主張激しく作られた作品ばかりだからだ。当然、並びあう作品間の関連性など全く考慮されていないため、互いに技術の高さ、オリジナリティの高さを、別の方向で競い合ってアピールしている所に居合わせるという、居心地の悪さを感じる。

また思ったより客が多く、かつ、落ち着きなくうろうろするなど客の質が低いため、それも気になった。よほど気になる展覧会があるまでは、あそこに行く必要はないかも。