世界最速のインディアン

ロジャー・ドナルドソン
世界最速のインディアン スタンダード・エディション [DVD]


アンソニー・ホプキンス主演の実話をもとにした映画だ。大画面でゆったりもう一度見たいと思った。良い映画だ。

インディアンというのはオートバイの名前で、アンソニー・ホプキンスがインディアンというわけではない。彼は、ニュージーランドに住む老人で、そのインディアン号と一緒に寝起きしている。インディアン号は普通のオートバイではなく、直線でスピードをぎりぎりまで出すために作られた特殊なバイクだ。

チューンは基本手作り。シリンダーも自分で廃品から鋳造している。空き地に立つ小さな小屋が彼の工場で住居でもある。バイク野郎の粋なじいさんを、アンソニー・ホプキンスが見事に演じている。あの剃刀のようなレクター教授とはまるで違う。

彼の夢はアメリカのソルトレークで開催されるスピードコンテストに出場し、世界記録を塗り替えることだ。仲間のカンパでなんとかアメリカにわたってから会場まで、またレースに出場するまで、なんやかや障害を乗り越えて行くのだが、それぞれのエピソードが味わいのあるものになっている。

一種のロードムービーということで、以前に見た『ストレイト・ストーリー』を彷彿とさせるが、あの映画とは速度と勢いが大きく違う。高速バイクの勢いが映画全体のトーンを決めている。どっちもいいね。

それとDIYで、障害を乗り越えてゆく主人公を見ていると、清々しい感じがする。ちゃんと実体のある生き方、実体から自分の夢までが繋がっている生き方、楽ではなさそうだが、どこにも捻れが無い。

かっとびじいさん、ということで『セント・オブ・ウーマン』のアル・パチーノも思い出した。あれも良い映画だった。

私は、じいさんが格好良い映画が好きなのかもしれない。憧れかな?