早起きで人生が変わる! -より輝いた自分になる50の方法-

中山庸子
早起きで人生が変わる!―より輝いた自分になる50の方法


しばらく前から、朝早めに出勤するようにしている。いまは家と職場が近いので、特別な努力をしなくても、朝早く行くのは難しくない。そして、早朝出勤と合わせて、早起きを習慣づけたいと思っている。ただ、こちらは、必ずしも上手くいっていない。

先週の日曜日は上手く早起きできたので、近所の公園まで散歩してきた。霜を踏みしめたり、太極拳をやっているグループを眺めたりするのはなかなかいい。

早起きが上手く出来ないのは、宴会があった翌朝、仕事で夜遅くまでやっていた翌朝、体調を崩した日、などにリズムが崩れてしまうからだ。リズムが崩れると早起きは辛い。以前なら、そのまま早起きを止めて、ばたばたと職場へ向かう生活に戻っていたのだが、今は、もう一度早起きに戻そうとしている。

そんな私が、新宿のジュンク堂で、長い長い立ち読みの末に買ったのがこの本だ。ずいぶん直接的なタイトルで、普段の私ならスルーしていたと思う。自己啓発本の一種?、まぁ、そんなところだろう。この手の本にアレルギーのある人には向かない。私はアレルギーは少ない。ただ多くの自己啓発本は、立ち読みで済んでしまう程度の内容しかないので、買う本は多くない。これも買うかどうか迷った。まぁ結論から言うと、赤いペンでたくさん書き込みを入れるほど参考にしている。買って良かったと思う。

対象読者は、ぼんやりと早起きに憧れていて、でも多くのぼんやりした障害のために実現できていない人向けだ。「これをやるべし!」とか「これはやってはいけない!」というような力の入った指南書ではなく、早起きの、色々な楽しみ、喜び、が書かれている。さらには、著者の中山氏は早起きをきっかけに人生そのものが大きく変わった経験を持っていて(だから、この本を書いているのだが)、タイトルは誇張ではないようだ。

想定されている読者層は働く女性なので、働くおじさん向けには、自分で翻訳しながら読まなければならない。また、そもそも考え方が違う、と感じるところもある。が、それらの翻訳や、反論をイメージしながら、自分にとっての「早起き」を考えることができる。例えば「身じたく」の章は「洗濯物を干す」「冷たい水で寝ぼけ顔リセット」「気合と輝きメイク」「ジャケット三枚スタンバイ主義で」「靴も、シーズン三足スタンバイ主義」と、おじさんが読むのは場違い、お帰りはあちら、という感じだ。しかし、単に具体的なやり方が書かれているのでなく、いずれにも基本的な考え方が書かれていて、それが役に立つ。例えば、なぜ洗濯物作業を朝やってしまうのか、という理由として、次のように書かれている。


朝するべきことがちゃんとできたときの「ありがたさ」は、夜疲れて帰ってきたときにしみじみ分かります。すっきり片づいたシンク、整えられたベッド、そしてほのかに石鹸の香りがする室内に、気持ちよく乾いた洗濯物

「早起きは精神修養。気合いで起きる!」といった考えとは真反対の、ポジティブシンキングである。早起きの「マイナス面」、辛さ、面倒臭さを減らそうとするのが従来型の早起きの考え方だとすると、彼女の考え方は、早起きすることで得られる「プラス面」を増やすようにする、という発想だ。全編、細かく、具体的な処方箋が盛り込まれている。私自身の早起きをデザインしてゆく上で、まだしばらくは参考書として役立つだろう。