ほんとうはこわい「やさしさ社会」

森真一
ほんとはこわい「やさしさ社会」 (ちくまプリマー新書)


ヒット作続出の注目新書であるちくまプリマー新書から一冊読みました。もし私が中高生だったら、プリマー新書を全冊読破、とかやってしまいそうだな。

最近の若い人、特に大学生と話すときに、なんか妙な違和感を感じていました。良くわからなかったのですが、まず「やさしい」。特に男の子に強く感じます。気配りが行き届いていて、やさしくて、でも考えていることが良くわからない。他人のことを凄く気にするのに、結局利己的というか、実は他人に関心ないというような。最近ではネットにアップされている言動や、事例も多く、それらにも同様の違和感を感じていました。

この本の冒頭に次のように書かれています。


現代社会では、やさしさが人間関係のルールとなっています。それはとてもきびしいルールです。その結果、やさしさとは逆の「こわい」現象が起きています。

あ、そういうことか、と思いました。私の違和感を見事に言い当てていたからです。社会学の立場から、多数の例が上げられていますが、良いとか悪いとかはあまり書いてありません。判断するのは読者、というスタンスです。しかし、次から次に思い当たる事例が出て来ます。曰く、キャラ的関係、楽しさ至上主義、きびしいやさしさ、予防的やさしさ、など。この本に解決の答えはありませんが、新しい視点を得るのに良い本です。