2007-01-01から1年間の記事一覧

ミステリオーソ

原寮 原寮のエッセイ集だ。最近、あまりエッセイは読まなくなっていたのだが、伊豆旅行の友として、こういうのもありかな、と選んだ。結果、なかなか良い選択だった。というのは、旅行中というのは細切れの時間がけっこうあり、その瞬間瞬間に、ちょっとした…

ガリア戦記

カエサル これが2000年前の本だとは。人間はちっとも進歩していない。ガリア戦記は、ジュリアス・シーザーこと、ユリウス・カエサルが、2000年前に実際に自分が指揮をしたガリアでの戦いを記録した書物だ。ガリアは今のフランス、ベルギーとドイツあたりを指…

ドラゴンヘッド

望月峯太郎 面白かった、といっていいのかな、とにかく、どっぷりハマった。読んでいる途中、現実世界で、けっこう大きな地震があって、マジでビビってしまった。ゴールディング『蠅の王』の影響は確かに強いが、別の作品になっている。 (ちなみに映画『ド…

東京ゴッドファーザーズ

今敏 今敏のアニメだ。『パーフェクトブルー』『千年女優』と見て来て、どうも私にはあわない監督だな、と思っていたが、これは良かった。今敏のアニメ映画は、なぜわざわざアニメでこんなのをやるのか、と言われてきたし、私もそう思っていた。実写のような…

Mr.インクレディブル

ブラッド・バード こいつには脱帽。さすがというしかない。『APPLESEED』や『スカイキャプテン』が、半歩趣味の域にあるのに対して、こちらはしっかり商業映画である。『APPLESEED』と同じくフルCG映画だが、表情が生き生きしていて見事だ。うーん、あまりに…

APPLESEED

荒牧伸志 士郎正宗原作の漫画を映画化したものだ。夜中に『MONSTER』と一緒にやっていた『攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG』が終わって、そういえば見ていなかったな、と思い出して見る事にした。ハウルやイノセンスと同時期の公開だったので、見に行けていなかっ…

スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

ケリー・コンラン 1960年SF風というか、空想科学小説風なセピア色の映画だ。マッドサイエンティストが、科学者11人を集めてロボット軍団を作り、世界各地に攻め入るのを、プロペラ機を駆ってやっつける主人公スカイキャプテンの物語だ。セット撮影でなく、…

ルヴァン

世田谷のパン屋めぐりをした。先週行ったのは三軒茶屋の濱田屋と、ベッカライ インマーマン濱田家 三軒茶屋 http://www.foods.co.jp/BAKERY/shop/tokyo/tokyo35.html ベッカライ インマーマン 三軒茶屋 http://www.alles.or.jp/~yokkom/deutsch/immar.htm濱…

ベッカライ インマーマン

濱田家

ハイペリオン

ダン・シモンズ これも有名なので先入観が先走っていた。どういう先入観かというと、遠い遠い未来、いや、大いなる古(いにしえ)の物語を語ろうではないか。全宇宙の覇権を握る、我らがハイペリオン帝国の栄光と没落を、エンディミオン王の勇猛なる戦いの歴…

深夜プラス1

ギャビン・ライアル ジャンル的には、スパイ小説に入れられているようだが、現役の諜報員は出てこないので、ちょっと違う。ハードボイルドタッチの冒険アクション小説か。舞台はヨーロッパ、パリから、スイス経由で、リヒテンシュタインまでの旅になる。シト…

ソラリス

レム 最近、ソダーバーグによって再映画化されたSFの古典だ。タルコフスキーのおそろしく眠たい映画としてご存知の方も多いだろう(ノーカットで見ると165 分)。私はけっこう好きだが。ところで『ソラリスの陽のもとに』というタイトルの早川SF版を読んだ人…

佐賀のがばいばあちゃん

島田洋七 もう、ずいぶん前に出版された本だ(2001年)。本屋で映画化記念のため、豪華版が出ていたので読んでみた。いい本だと思う。島田洋七あなどりがたし。すっと文が頭に入って、笑えて、泣けて、あぁそうだなと膝を打つ、そういう本だった。私は佐賀出身…

楽園のつくりかた

笹生陽子 最近、人気のある児童文学作家らしい。私ははじめて読んだ。相当に上手い。やられた、と感じた。都会の進学校から、田舎に引っ越してきた中1の少年の話だ。この少年、主人公らしからぬ、ちっとも可愛げのない、ガリ勉で、鼻持ちなら無い奴である。…

鳥類学者のファンタジア

奥泉光 性格のさばさばした、ジャズピアニストの日本人女性、通称フォギーを主人公にしたファンタジー小説だ。彼女は30代?、いい感じに落ち着いていて飄々としている。普通のファンタジーの主人公にするには、年を取りすぎているかもしれないが、この話では…

デザインのデザイン

原 研哉 真っ白にタイトル文字というストイックな表紙が目を引く。内容は、2002年に開催された「リ・デザイン展」という展覧会や、初期の愛知万博、無印良品などのデザインをあつかったデザイン論である。要するに、日常に馴染んでしまった、見えなくな…

スウェーデン式 アイデア・ブック

本屋に行くと、発想法に関する本が山のようにあって、これもその一つだ。ただ、いかにもビジネス書然とした他の本と比べて、大変お洒落で、絵もブックデザインもすてきだ。薄い本だが、内容も気が利いていて、ビジネス本臭さがなく、自分のライフスタイルに…

雲のむこう、約束の場所

新海誠 『ほしのこえ』の新海誠が監督をしたアニメ映画だ。今回彼は監督で、作画は別の人がやっている。なので、細かなところまで神経質なほどに気の配られた『ほしのこえ』に比べれば甘い作りになっている。改変世界物と呼ばれるSFだ。戦後、北海道が日本か…

のだめカンタービレ

二ノ宮 知子 (1)-(11) ... 音大に通う学生たちを描いた漫画だ(いまは卒業後に話しが移っている)。面白いという評判だったので、気分転換に全巻買って一気読んだ。これはおもしろいね。「のだめ」のキャラクターがいい。北大の獣医学部を描いた『動物のお医…

子どもとマスターする50の考える技術・話す技術 - イラスト版ロジカル・コミュニケーション-

三森ゆりか, つくば言語技術教育研究所 最初のあたりは娘と一緒に、途中からは、娘と別々に読んだ。良くできた本だ。イラストもかわいい。基礎編、実践編、応用編に分かれている。後半になるほど難しい内容になる。しかし、何より基礎編だ。ちょっと見回した…

バッテリー 3

バッテリー 3巻 あさのあつこ 妻が買ってきた文庫版の『バッテリー』3巻を読んだ。あっという間だった。4、5、6巻がどうなるのか楽しみだ。読みながら、かなり練られた話の展開であるにもかかわらず、一つ一つのシーンでの心の動きや、台詞が繊細で見事…

ビッグ・フィッシュ

ティム・バートン ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』のDVDが、ブックオフで安く売られていたので買った。映画館でみるつもりが、忙しくなって見損なっていたためだ。ストーリー展開や扱う題材が、『フォレスト・ガンプ』を彷彿とさせる。しかし『フ…

脳内現象 はいかに創られるか

茂木健一郎 『科学の方法』(中谷宇吉郎)に次の一節が出てくる。 また人間の自意識の問題などに、自然科学的な考え方を入れることも、あまり役に立ちそうもない、少なくとも場ちがいなものの考え方であると思われる。自意識のような問題は、これは個の問題…

科学の方法

中谷宇吉郎 雪の研究で有名な中谷氏(~1962年)の名著だ。和泉多摩川にあった小さな本屋に行った時に、その奥まった棚で見つけた。まだ、amazonに在庫があるようだから、普通に手に入ると思う。文章はわかりやすく、簡潔、明快だ。中学生には難しいだろうが、…

私・今・そして神

永井均 『<子供>のための哲学入門』を読んで面白かったので、同じ講談社現代新書の、同じ筆者の、この本を読んでみました。哲学の本です。これも面白かった。最初の扉のところに、カラーの絵日記がついています。 X月X日きょう僕は、白い雲が浮かぶ青空の…

リトル・フォレスト 1巻

五十嵐大介 彼のマンガの絵は、強い説得力をもつ。しかし作品の背後に流れる、心の動きはずいぶん脆い、という印象がした。特に『はなしっぱなし』『そらトびタマシイ』に強い。それが『リトル・フォレスト』では、ずいぶん安定したように感じられる。ただ通…

そらトびタマシイ

はなしっぱなし上、下

村田エフェンディ滞土録

梨木香歩 『家守綺譚』の姉妹編という位置づけになる。明治初期に、トルコへ考古学を学びに留学した村田君の経験談だ。『家守綺譚』と同じく擬古的な文体で書かれている。この擬古的な文体は上手ではあるものの、好きじゃない。それは『家守綺譚』でも馴染め…